川内倫子 と、 haruka nakamura

© 2026 Rinko Kawauchi

© 2026 Rinko Kawauchi

倫子さんの写真集を飾って暮らしていた。
その頃、僕はトワイライトというアルバムを作っていた。
川のある街に暮らし、倫子さんの写真に憧れてカメラを持ち歩き、川辺で撮影したポラロイド写真をアルバム・ジャケットとした。
音楽を続けていくうちに倫子さんと出会えて、幸運にもいくつかの作品や演奏会を共にさせて頂いた。
同じ川の街のすぐ傍でお互いが暮らしていたことがわかったのは、倫子さんが街を離れる時のことだった。

2023-2024年、蔦屋書店の音楽として「青い森」というテーマでアルバムを四枚、作ることとなった。
内省の森。楽器の始まりの森。
そして故郷の青森。
北国に移住し、一年間じっくりと取り組むソロのプロジェクト。
僕はいよいよ倫子さんにアルバムジャケットをお願いすることを心に決めた。

これまで、倫子さんが引き合わせてくれたアーティストbaobabとの共作のアルバム「カナタ」のジャケットやMVを作って頂いてはいたが、ソロ作品を依頼するの初めてのこと。
倫子さんの故郷・滋賀での展覧会で演奏会を共演したことや、倫子さんと原田郁子さんの本の出版記念演奏会にゲスト出演をお誘い頂くなど、大きな川の流れが、また僕らの合流ポイントを促してくれていた。
時が来たような感覚があった。

倫子さんは快諾してくれて、4作品において毎回、「青い森」が出来上がるたびに、音楽に合った未発表の写真作品をたくさん見せてくれた。
ブックレットにも写真を提供してくださった。
どれも音楽から聴こえてくる風景をさらに膨らませてくれるような光が輝いていた。
同じ川の街に暮らしていた頃から願っていた、ひとつの夢が叶った。

僕らの間には川が流れている。
出会ったり、別れたりしながら流れは遠くまで続き、
やがて、一つの海となる。
その水脈は、森からやってきた。
窓を開こう。
そこには、静けさから生まれる音楽が鳴っている。
またこの川が合流してくれる日を願って。


haruka nakamura

川内倫子

1972年滋賀県に生まれる。2002年『うたたね』『花火』(01年)の2冊で第27回木村伊兵衛写真賞を受賞。著作は他に『AILA』(04年)、『the eyes, the ears,』『Cui Cui』(共に05年)、『Illuminance』(11年)、『あめつち』を(13年)、『Halo』(17年)などがある。09年にICP(International Center of Photography)主催の第25回インフィニティ賞芸術部門受賞、13年に平成24年度(第63回)芸術選奨文部科学新人賞、第29回写真の町東川賞国内作家賞、23年にソニーワールドフォトグラフィーアワードのOutstanding Contribution to Photography(特別功労賞)を受賞。主な個展は、「AILA + Cui Cui + the eyes, the ears,」カルティエ財団美術館(05年、パリ)、「Semear」サンパウロ近代美術館(07年、サンパウロ)、「Cui Cui」ヴァンジ彫刻庭園美術館(08年、静岡)、「照度 あめつち 影を見る」(12年、東京都写真美術館)、「Rinko Kawauchi – Illuminance」(15年、KUNST HAUS WIEN GmbH、ウィーン)、「川が私を受け入れてくれた」(16年、熊本市現代美術館M/E』『いまここ』(谷川俊太郎との共著)『光に住み着く』(篠原雅武との共著)、『M/E』がある。

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